浦野広明・立正大学客員教授の累進課税のトンデモ試算

浦野広明・立正大学法学部客員教授という方がいらっしゃるようで、どうも税理士で共産党支持者のようですが、この方が所得税の累進性の強化を主張するために、とんでもない試算をしています。次の記事です。

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所得税最高税率を引き上げ、累進課税を強化すれば10兆円の増収が可能になる」─。累進化が高かった1974年当時の税率を適用した場合の申告所得税の概算計算を、浦野広明・立正大学法学部客員教授(税理士)が発表しました。「税金や社会保険料の負担のあり方は、憲法に基づく応能負担が原則。『総合累進課税』こそ、大多数の国民の幸福につながる税制」と主張する浦野税理士に話を聞きました。 

 引用した部分にあるように、累進化が高かった1974年当時の税率を2016年の所得データに適用して試算してます。そして、その結果から10兆円の増収が可能だと主張しています。

極論を示して、自分の話(主張)の切っ掛けにしているのかなと思ったのですが、どうも本気で1974年の税率に戻すことを主張しているように見えます。

というのも、累進性強化で10兆円を超える財源が確保でき、消費税増税は不要であるとの話をあちこちでしているようなのですね。

その一例がこちら。

嗚呼、この大企業・金持ち優遇税制の歪み。 | ちきゅう座

また、2017年度予算の申告所得税収入は3740億円であるという。浦野さんは、この金額を、金持ち優遇の分離課税制度と、度重なる累進性緩和の結果、かくも過小になったものだという。浦野さんの計算によると、分離課税を総合課税とし、1974年当時の超過累進課税の税率を適用すれば、所得税収入額は、131,673億円になるという。予算より約10兆円を超える所得税の増収が見込まれるというのだ。

いやー、本気の主張のようです。しかも本職の税理士のようで、びっくりしました。

インフレも考慮せずに、そのまま1974年の税率を適用するなんて、とんでもない話です。せめて、初任給を参考値にして、1974年と2016年の違いを平準化しないと、算出した金額(10兆円)が概算としてあってるかどうかが分からないだけでなく、所得税の増収が見込めるかどうかさえ言えません。

それと、累進性を高め75%にまで税率を上げた場合、高所得者の株投資が減少し、年金基金への影響も考えられます。その株価への影響が考慮されていませんが、この人本当に公認会計士なんでしょうか? 共産党支持だから、そのあたりの影響について、うといのでしょうか?