経済対策としての財政支出と無駄遣いとアニメ殿堂

15兆円の追加予算が決まりましたが、その中にアニメの殿堂が含まれていることに対して、無駄遣いだとの反対が起きています。私も無駄だと思います。ただ、政治家や経済・政治評論家をはじめとする、その反対論者の中に良く理解できない論旨を振りかざす人が多いことが気になります。


いくつか論点を整理します。

  1. 1000兆円を超えるといわれる財政赤字がある状態に肯定的/否定的
  2. 10兆円を超える大型経済対策に肯定的/否定的
  3. 無駄遣いの発生に肯定的/否定的
  4. アニメの殿堂に肯定的/否定的

ちなみに、私はすべてに否定的です。で、これら全部に肯定的であれば首尾一貫していますし、それはそれで一つの立場だと思います。ただし、このような立場の人は見たことがありません。また、1は長期的課題ですから、短期的には別の政策を取り得るという立場もあるでしょうから、1は否定で2以降は肯定という立場もあり得ると思います。このような立場の人はいますし、それは理解できます。しかし、2、3を肯定し4を否定する人や、2を肯定し3・4を否定する人たちがいます。特に後者の、2−肯定、3・4ー否定という人が結構多いのです。しかも、3を強く否定し、その一例として4を挙げているようです。これが不思議です。


巨大な財政出動をすれば、無駄遣いが発生することは過去の経験から十分にあり得る、というよりも無駄遣いの伴わない巨大予算というのはあり得ないと断言しても良いでしょう。したがって、3を強く否定することは2を否定することと同義としか言いようがありません。

4が無駄遣いかどうかというのは微妙です。文化行政でもあり、かつ箱物行政でもあるからどちらともとれます。アニメを代表とする新しいメディア文化というのは日本文化の重要な発信源となっていますから、産業育成や文化保存の意味は十分にあると思います。また、無駄遣いとしても、たかだか117億円であり、その金額全部が無駄というわけではないでしょうし、もっと無駄が多い項目があるはずですから、無駄遣いとしての象徴としても私には説得力がありません。


もっと十分に説明する必要があると思いますが、面倒になったので結論です。10兆円を超える財政出動に肯定的でありながら、アニメの殿堂に反対する人を私はいい加減だと思いますし、信用はしません。