小泉首相の就任前の靖国参拝はなかったろう論

かなり前のことですが、◆木偶の妄言◆のbrotherjin氏が、小泉首相の就任前の靖国参拝に関する疑念を論じています。これは私も調べた過去がありますので書いてみます。残念ながら、ディスククラッシュで資料が散逸しちゃったので、一部は記憶で。最初に結論を書いておくと、「なかった」論の証拠は個人の経験でしかないのに対して、「あった」論の証拠は記事と国会議事録なので、「あった」論の方が強いというものです。


<経緯>
さて、brotherjin氏は、2つのエントリで推理を展開しています。

まず、「小泉首相自身には靖国参拝に対する思い入れはないのであろう」と推測し、次にコメント欄で「玄倉川」氏による共同通信の記事の提示を受けて、一端その推測を取り下げます。しかし、2番目のエントリで、野中広務栗本慎一郎のインタビューを根拠にあげて再び疑念を提示しています。

brotherjin氏のエントリ

http://brotherjin.exblog.jp/2341162/
http://brotherjin.exblog.jp/3116438/


野中広務インタビュー記事

http://www.kokuminrengo.net/2005/200506-nonaka.htm


栗本慎一郎インタビュー記事

http://www.asyura2.com/0510/senkyo17/msg/912.html


同様の疑念を持っている人は結構いるようで、次の人なんかは、「一度もしなかった」と断言しているほどです。

http://www.nodakazuo.com/ra/ra_545.html


ただ、残念ながらこの方は間違っております。靖国参拝反対派にもっとも強く支持されている論は、大臣(たしか厚生)時代に一度だけ参拝したというもので、これは反対派によって記帳が確認されています。この説は何人かの左派の学者が講演で話すことによって広まったと小生は考えております。この説は根拠に乏しい割には、結構広く受け入れられているようで、テレビで5,6度聞いたことがあり、また雑誌のコラム等でも見かけたことがあります。


<なかったろう派の根拠>
以上、私の知る限りのなかったろう派の根拠をまとめると、

  1. 靖国神社の記帳が1度しかない事実
  2. 羽田孜靖国神社であったことがないという証言(野中による伝聞)
  3. 野中広務の見たことがないという証言
  4. 栗本慎一郎の見たことがないし、「みんなで参拝する会」に誘ったけれど断られたという証言

の4つということになろうかと思います。



<あったろう派の根拠>
一方、私が覚えているあったろう派の根拠としては、

  1. 共同通信の記事(「玄倉川」氏が存在を指摘したもの)
  2. 朝日新聞政治記者清水建宇氏のコラム
  3. 福田康夫氏の官房長官時代の国会(委員会?)での発言

の3種類があります。これ以外に、小泉首相自身による、またその秘書による発言があったはずなのですが、かなり記憶が曖昧で内容は忘れました。

一応、場所を示しておきます。

共同通信の記事

「首相は初当選以来ほぼ毎年、終戦記念日靖国神社に参拝してきた」

http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2001/yasukuni/news/20010817-186.html


朝日新聞政治記者清水建宇氏のコラム

「「ああ、同期の桜」を座右の書とし、毎年数回の靖国参拝を続けてきた」

http://www.tv-asahi.co.jp/n-station/cmnt/shimizu/2001/1018num95.html


3番目は議事録ですから国会のサイトにあるはずですが、見つかりませんでした。



<議論>

さて、基本的にはこの問題は有無の問題ですから、なかったという直接証拠を示すことは難しいのです。さらに、いくら「なかった」という状況証拠を積み上げても、たった一つの「あった」証拠があればそれで終わりの議論です。


また、「あった」証拠は異なる新聞社の(おそらく政治部の)2名の記者による記事と国会議事録なのに対して、「なかった」証拠は単なる狭い範囲の個人的経験でしかありません。したがって、相当強い根拠によって前者が偽であることが示されない限り、小泉首相の就任前の(ほぼ毎年の)参拝はあっただろうと考える方が自然です。

しかし、brotherjin氏は後者を根拠に前者に疑念を呈しています。この点、私には理解できません。
強いて推測すれば、「栗本慎一郎氏が「みんなで参拝する会」に誘ったけれど小泉氏は断った」という点に引っ掛かってるのかなと思うのです。brotherjin氏は、小泉首相が思い入れを持っているならば誘われたときに参拝するはずだ、断ったと言うことは思い入れがないということだと思ったのではないでしょうか?

だとすると私が断言しておきましょう(って、お前は小泉首相かよ!)。小泉首相は、参拝を断ったのではなく、「みんなで」を断ったのです。

<悪口>

勝手に人の気持ちを想像して断言するなよという話ですが、何で断言したかというと「みんなで靖国参拝する国会議員の会」が嫌いだからです。首相の私的参拝よりもよっぽど問題だと思います。法的には問題ないかもしれませんが、「みんなで」というその性根が嫌い。パンツをはいたサルを読んだときになぜか著者に違和感を覚えたのだけど、週刊現代のインタビュー記事で「みんなで参拝する会」に入るような人物だと知って、腑に落ちました。私とは社会に対する姿勢が全く違うのでした。


さてさて、こういう内容の場合はトラックバックを送るのが礼儀だと思うので、やってみます。初トラックバックなので、失敗するかも。失敗したらコメントで連絡しようっと。

追記:
やっぱりトラックバックに失敗しているようです。
気が向いたらコメントすることにしよう。
ところで、つらつらネットサーフィンしていたら、「なかったろう」派の方々を見つけたので、メモしておきます。
http://blog.livedoor.jp/minow175/archives/50214772.html
http://gekkankiroku.cocolog-nifty.com/edit/2005/11/post_a064.html
http://kaneniwa.exblog.jp/3160835/
http://blogs.yahoo.co.jp/islandlife441/13757339.html?p=1&t=3