新型コロナ:日本の線形的増加がおかしいと批判される中、北欧も線形化

この記事では、前半に北欧諸国の感染増加が線形化したことを扱い、後半では活動自粛と一斉休校の効果がいつ現れるかという点についての拙い憶測を書きます。

 

日本の感染確認数は線形的に増加しています。

これは、現在の西欧諸国とアメリカでみられる指数関数的増加と全く対照的です。中国や韓国の増加期も同様に指数関数的増加でした。

日本だけ違う傾向であることに対して、日々の検査数を意図的に抑えているだの、数字が操作されているだのといったゲスな勘繰りによる批判がなされています。なんの証拠も示さずに、とにかく日本は間違っているという立場に立って批判がなされており、ほんとゲスイと思います。

批判するのはよいのですが、せめて、他国より少ない死者数や他国とそん色のない陽性率について、証拠に基づいて合理的に説明してほしいものです。

この日本の線形的増加ですが、欧米や中韓にしか目を向けない人にとっては、奇異に映るかもしれません。しかし、中韓を除く、多くのアジアの国々、特に東南アジアの国々は同じ線形的増加を示しています。(ただし、最近一部の国が指数関数的増加に変わりつつあるようです)

したがって、日本だけでみられる特別な傾向というわけではありません。

最近、その例が加わりつつあるようです。

前回の記事で言及した北欧諸国です。

フィンランドが少し心配ですが、スウェーデンノルウェーは確実に線形増加に変わっています。デンマークも同じです。Wikipediaで確認できます。

https://en.wikipedia.org/wiki/2020_coronavirus_pandemic_in_Finland

https://en.wikipedia.org/wiki/2020_coronavirus_pandemic_in_Sweden

https://en.wikipedia.org/wiki/2020_coronavirus_pandemic_in_Norway

https://en.wikipedia.org/wiki/2020_coronavirus_pandemic_in_Denmark

そのWikipediaから、スウェーデンノルウェーデンマークの日別感染確認数のグラフを引用します。累積感染確認数が指数関数的に変化するときは、日別感染確認数が単調増加しますが、これらはほぼ一定数となっていて累積が線形的に変化していることが分かります。

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Norwayの感染者数推移

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Swedenの感染数推移

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Denmarkの感染数推移

 

このように考えると、中韓米や西欧諸国は初期の抑え込みに失敗した例で、日本、東南アジア、北欧諸国は抑え込みに成功した例であり、感染確認数の増加傾向の違いは単にその顕れに過ぎないと考えられます。

 

日本が抑え込みに成功しているとはいえ、予断は許されません。台湾は線形の傾向は保っていますが、増加数が増えました。おそらく帰国者が増えて、その分の増加があるのではないかと思います。香港、シンガポールインドネシアなどは指数関数的変化に変わりつつあるように見えます。タイとマレーシアはその傾向がもっとくっきりしており、おそらく指数関数的増加に変わっていると思われます。

日本もいつそのようになってもおかしくありません。

イベントや会合の自粛と一斉休校が始まって3週間が過ぎました。日本国内で発生した過去のクラスタを調べると、感染が発生してからクラスタであることが判明するまでに2~4週間かかっています(東京屋形船1/18→2/14、愛知スポーツジム2/9→2/22、大阪ライブハウス2/15→2/29)。その後、1-2週間は感染者の発見が続いています。

3週間たったので、そろそろ明瞭に数字が小さくなるほど効果が顕れるかもと期待していたのですが、まだ減少は確認できません。3月9日ぐらいからいままで、毎日40~55ぐらいの発生があります。一方、指数関数的増加はないので、政策の効果そのものは表れています。

減少に至らない一つの要因は帰国者です。各国が渡航制限を取ったために、帰国者が相次いでおり、その中に感染者がいます。大まかに毎日の発生の4分の1程度はいるように思います。実はこの要因が減少を妨げている最大の要因だと思います。

もう一つの要因は、(福祉施設を含む)院内感染の増加です。複数のクラスタが発生しています。

もう一つは、NTTドコモでの職場内感染です。東京は情報開示のレベルが低くて把握しにくいのですが、最初の発症が3月3-5日のどこかであり、クラスタの判明が15日のようです。潜伏期間を2~14日とすると、最初の人は2月下旬に感染した可能性が高いと思います。

院内感染は今のものが収まっても別のものが発生するでしょうから、ベースライン(感染判明数の下限)と考えられます。帰国者は先週が多かったはずなので、あと2週間ぐらいは発生が続くと思いますが、そこで止まると思います。NTTドコモクラスタ発生が2月下旬か3月上旬とすると、今月中はだらだらと続くかもしれませんが、発生数そのものはこれから減少していくものと思われます。

ということを考えると、残念ながら来週は減少を明瞭に確認することは難しく、再来週ぐらいから確認できるのではないかと推測します。他に要因がなければという前提条件付きですが。