「表現の不自由展・その後」実行委員が偏りすぎ問題

「表現の不自由展・その後」のあいさつには、「表現の不自由展 実行委員会」の署名があります。アライ=ヒロユキ、岩崎貞明、岡本有佳、小倉利丸、永田浩三の5氏です。挨拶には、5氏の簡単な紹介が載っていますが、簡単な肩書程度でしかありません。そこに記載されていない各氏の属性を調べると、政治的に非常に偏っていることが分かります。見事に反安倍政権の方々が集まっています。その情報を以下にまとめました。

アライ=ヒロユキ
  • 九条美術の会
  • 安倍政権退陣署名呼びかけ人
  • 主な寄稿先に、赤旗週刊金曜日有り。
  • 天皇アート論」という著書が有り、天皇関連の展示に関係している可能性がある。
  • 「検閲という空気 自由を奪うNG社会」という著書があるが、ある書評に『美術批評家の著者は、第二次安倍政権の発足後に急増した「封印ないし干渉された表現の事例」を丹念に集め、「それが徐々に線になるだけでなく、社会全体を覆う問題」であることに気付く。』との記載がある。企画展における「表現の不自由」年表の主な情報源で、かつ、その情報は第二次安倍政権の発足後のものがメインだと推定される。

岩崎貞明

岡本有佳

  • 日本軍「慰安婦」問題Webサイト制作委員会、希望のたね基金
  • 東京にも少女像をたてるべきと主張している
  • 『政治権力VSメディア映画『共犯者たち』の世界』の共編者。
  • 『“平和の少女像”はなぜ座り続けるのか (ffjブック)』など慰安婦関連著書も複数あり。
  • 間違いなく慰安婦関連展示に関係している。

小倉利丸

  • 盗聴法に反対する市民連絡会、ピープルズ・プラン研究所
  • 通信傍受法と共謀罪に強く反対。安倍退陣を求める各種グループの勉強会などで多数回講演。
  • 『危ないぞ!共謀罪』『働く/働かない/フェミニズム 家事労働と賃労働の呪縛?!』

永田浩三

  • 日本放送労働組合組合員
  • NHK番組改変問題として大きな騒動になった、慰安婦問題などを扱う民衆法廷VAWW-NETジャパン主催)に関する番組「戦争をどう裁くか」のNHK統括プロデューサー、安倍氏と中川氏に政治圧力はあったと主張しているが、その根拠は伝聞。
  • 九条の会で多数の講演。
  • 2019年5月に嘘つきとなじったりして安倍首相の退陣を求めるスピーチを行った。

という感じです。


行政には、中立やポリティカリーコレクトネスが求められます。当然ながら、行政が主催する行事でも同様です。その行政が主催する行事の実行員会としては、とんでもなく偏っています。個人的見解ではアウトです。
津田氏は事前にリスクを承知していたとのことですが、なぜ、少しでも中立性を確保するための努力を実行委員の選定の段階から行わなかったのでしょうか? とても不思議です。

私の見るところ、この偏りによって、少なくとも次の3点で中立性が損なわれています。

  • 展示物
  • 展示説明
  • 年表

ただし、インターネットで調べただけなので、実際の会場には何か工夫があるのかもしれません。以下は、インターネットで調べて得た限定的な情報から判断したことであることを断っておきます。

まず、最初の展示物ですが、これは企画の主旨からいってある程度仕方のないことかもしれません。しかし、これらを見て、表現の不自由とはなんであるかを考える契機になるのでしょうか? 展示が取りやめになったり、一部修正が求められたりしたものが集められているのですが、ここで取り上げられているのは政治的表現や被害者への配慮、公共空間の使い方が理由になったものです。展示取りやめなどの理由には猥雑などほかにもはあるのに、それらの展示はありません。また、補助金を交付しなかった事例も展示されていますが、これは展示自体はできていますので、何が不自由なのかわかりません。マネキンフラッシュモブは、芸術ではないでしょう。政治デモにしか見えません。横尾忠則の展示については、主旨にさえ適っていないと思われます。

展示説明ですが、これはもっと工夫すべきだったと思います。はっきりいって、ほとんどの説明で、経緯や理由がよくわかりませんし、芸術的価値もよくわかりません。不自由さについて考えてもらいたいなら、前者についてもっと説明が必要だし、また、全体をまとめて何を不自由と呼んでいるかや展示中止などのb理由について解説した説明も必要でしょう。さらに、個々の説明を偏った実行委員自身が書いており、初めから中立性や客観性が期待できないものになっているのも、まずい点です。例えば、平和の碑(慰安婦像)を、慰安婦サポーターの岡本有佳氏が書いていますが、完全に慰安婦支持団体よりの記述になってしまっています。

年表ですが、これはおそらくアライ=ヒロユキ氏が集めた情報がもとになっているようです。しかし、アライ=ヒロユキ氏の書籍の書評(

https://dokushojin.com/article.html?i=4925

)を読むと、氏は『第二次安倍政権の発足後』(2012年末)に、反安倍政権の観点から情報を集めています。当然ながら、年表の情報も偏っています。2011年以前のものは乏しいし、全体的に反安倍政権に偏っています。例えば、安倍首相のポスターへの汚損・破損事件を載せてあります。しかし、同様の事件が民主党政権の時にもあったはずですが、こちらの方は載っていません。

このような中立性の欠如は、企画の質を落としているだけでなく、おそらく実行委員が意図した表現の不自由について考えてもらう契機にするという点をも失敗に導いていると思います。せめて、表現の不自由について、もっと中立的で俯瞰的な解説があってほしかったとおもいます。